BIKEFIT社と製品特徴

BIKEFIT™について

Paul Swift(ポール・スウィフト)

CYCLE POINT  CEO

アメリカ自転車トラック競技選手権8回優勝の実績を持つ。

クリートウェッジ®製品の特許権を保有。
ミスター・バイクフィットと呼ばれている。

“Push Pedal Straight” – ポール・スウィフト

「筋肉や骨は新陳代謝が速く、損傷しても回復できる高い能力があります。一方、関節は血流があまりないため代謝が遅く、多少の損傷は回復しますが、基本的には酷使すれば消耗し続けていくものです。今は大丈夫でも、後から増幅してその痛みはやってきます。何のためにバイクに乗りますか?健康増進?スピード?いずれも膝関節に負担を掛けずペダルを真っすぐに踏めることは非常に大切です。特にバイクではどれだけの多くの回数、膝関節が深く屈曲しているか考えてみて下さい。」

スポーツ自転車の世界。競技用自転車、特にロードバイク(トライアスロン含む)やMTBなどでは、ペダルとシューズを固定する方法が主流です。古典的なトウクリップ&ストラップ(トラック・競輪)を除けば現在はスキーのアイディアを用いたビィンディング式ペダル & 専用シューズを使用するのが一般的です。
バイクとライダーの接点の内、唯一固定された部分がペダル&シューズです。正しく調整されていないと、いくら高価なバイクも苦痛な乗り物になります。

BIKEFIT社は世界でも珍しいバイクフィッティングに特化したブランドです。

さてBIKEFIT社の起源は1995年のアメリカ・ロサンゼルスまで遡ります。
現在のクリートウェッジの原型となる「Big Meat」と呼ばれる商品をポール・スウィフト氏が開発。そのクリートウェッジの開発後、シューズのインソール内に入れるITSウェッジ®(当時の商品名Sole Power)を開発しました。今日ではスペシャライズド社他、複数の会社もその価値を認識し、彼らが独自でインナーウェッジを製品として市場に出しています。

現在ではバイクフィッティングの定番機材となった、バイクシューズ調整機材のBIKEFIT社製クリートウェッジ®やITSウェッジ®。そして脚長差を減らすレッグレングスシムやQファクターを整えるペダルスペーサー。
それぞれ特徴があります。
・クリートウェッジ® & ITSウェッジ:足のカント(足底の傾き)のアライメントを整えることが目的。バイク乗車中の膝周辺の痛みや足の痛みの予防、そしてパワー出力の改善。
・レッグレングスシム:左右の脚長差の補正、左右の脚可動域差の補正、左右足の大きさの差によるクリート取り付け位置差異による左右バランスの補正、それら複合的な修正利用目的。お尻片側の痛みの解消etc。
・ペダルスペーサー:足のスタンス幅の修正。真っすぐ踏み下ろすペダリングへ改善。

当時は『足底の傾き』の与える影響について世間は理解せず、受け入れもしませんでした。
さらに、クリートウェッジ®の効果について関心も無く、また使い方も知りませんでした。
それらフィッティング用製品が「ペダルを真っすぐに踏む」ことに非常に大きく関係している理由も世間では理解されていませんでした。

左右差を減らしペダルを真っすぐに踏む=膝関節の単純な屈曲の実現、怪我予防、パワー出力向上

このフレーズは世界のバイクフィッティングのシンポジウムやセミナーで言われる世界共通認識です。

クランクが正しく一定方向に回転するのに対し、人の膝関節もクランクの動きに追随するように単純な屈曲させることこそが大切です。膝関節は「蝶番関節(ちょうばんかんせつ)」と呼ばれています。ちょうどドアの蝶番部品を指した例えです。股関節や足首とは違い、一方向に屈曲するのが都合が良い構造です。この膝もペダリング中に正しく単純屈曲すれば良いのですが、多くのサイクリストのペダリング中の不必要な膝のブレや不安定なペダリング軌道は、単純屈曲の妨げとなり大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)間の「ねじれ」を生み出す原因となります。それが起因とする周辺の腱組織の炎症など、サイクリストにとって深刻な怪我を招きます。これはロングライドで初めて気づくサイクリストも多くいることでしょう。一度発症すると不快感が長引きます。またパワーが上がらない競技者もこれが理由の一つとされることが指摘されています。そして過去多くの自転車選手が膝周辺の腱炎が理由で、競技中のリタイヤや引退していきました。
そうならない為にもサイクリストにとって、いわゆる「きれいなペダリング」は快適でしかも怪我のリスクを減らす最善事項であるのです。

イメージ画像

さて話は戻ります。

スウィフトはバイクフィッティングの世界において、クリートウェッジ®が世の中に浸透するまで時間がかかるという事は認識していました。

ITSウェッジ®の登場後も世間では、慣習的に小さいサイズの自転車シューズを選び、ライダーの足で靴をストレッチさせて使用するのが常識となっており、ITSウェッジ®を入れる隙間さえありませんでした。 つまりその当時の自転車用シューズ内には物を入れる隙間が無かったのです。

1980年代、スウィフトは当時米国オリンピックトレーニングセンターに在籍しており、選手傍らバイクフィッティングの担当をしていました。当時のバイクフィッティングは、ほぼ側面観察のみです。シューズについてはクリート前後左右の調節のみがフィッティングの全てでした。当時はペダリングにおける膝の軌道など全く考えにありません。スウィフトは初めて前後観察手法を取り入れ、何人かのアメリカの最も優秀なサイクリストの膝が左右に揺れることが膝の側面を痛めていることを調査。

その結果、膝のブレが故障の原因となっていることを発見しましたが、まだその当時は、はっきりとした確証はありませんでした。現在ではそれらが腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)や鵞足炎(がそくえん)であることが広く認識されています。

多くのサイクリストは、身体的特徴が理由で真っすぐに踏む自然なペダリングが難しいと専門家は指摘します。 BIKEFIT社のバイクフィッティング機材は正にそうしたサイクリストにとってマッチした製品なのです。

クリートウェッジ®各種

こうした歴史背景からスウィフトは1980年代、世界で一番早くそれを解決できる商品の開発がサイクリストを救うことだと気付き製品化した人物です。
そして1990年代に入ると、コロラド・ボウルダースポーツセンターのアンディ・プルイット博士が膝痛に関する動的メカニズムをスポーツ医学界で証明した人物といえるでしょう。 その後スウィフトはBIKEFIT社を設立することとなります。 両者は現在でも良好な関係を築いています。

膝の軌道が安定しないサイクリスト 【レーザー照射器による観察】

真っすぐにペダルが踏めてるサイクリスト 【レーザー照射器による観察】

スウィフトが考案したクリートウェッジ®とITSウェッジ®は改良を重ね、足裏の傾きを補正し、よりスムーズなペダリングを実現すると同時に膝や足首の故障を防ぐ商品として認知されるようになってきました。

そこで、BIKEFIT社は2006年から自社より供給を始める際、アメリカ国内のバイクショップのスタッフやバイクフィッティングに関心の高い機関を対象に、教育プログラムを開始しました。

これが瞬く間に世界中に広まり、世界中の自転車業界関係者や、医療機関従事者から同社の講義に参加するようになり大変好評を得ています。同社の哲学に焦点を置いた教育プログラムでは、受講者は実際にバイクフィッティングに参加させた上、哲学や医学的見地からのバイクフィッテングへのアプローチを指導しております。

日本でもBIKE FIT講習会というプロ向けのフィッティング講習会を2010年より開始し、多くのプロショップやトレーナーの受講もあり、近年のメディアでのバイクフィッティングに関する記事内容の質が高まってきました。

BIKEFIT社の製品は現在主な自転車競技やトライアスロンイベントで使用されております。プロの自転車レースでは春のクラシックレース、3大ツール(ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ヴェルタ・ア・エスパーニャ)、ロングディスタンスのトライアスロンからアイアンマン・ワールドチャンピオンシップにおいて、数え切れないほどのタイトルを獲得、さらには世界選手権やオリンピック金メダリストも密かに使用しております。

イギリス・名スプリンター、マーク・カベンディッシュ選手のシューズ 【2018年】

クローズアップ画像  シューズとクリートの間にクリートウェッジ(イエロー)が入っているのが確認できます。

このアメリカ・シアトルに基盤を置くBIKEFIT社のバイクフィッティング哲学は、今や世界に広がり、バイクフィッターや医療分野の中で最も影響力があります。将来的にBIKEFIT社は、世界中の自転車業界と医療界との独自の関係を教育プログラムや講義によって構築していきます。

©サンメリットBIKE FITスタジオ
IBFI国際バイクフィッティング協会 会員 伏見 真希門(ふしみ まきと)
BIKEFIT公認インストラクター
元RETUL公認インストラクター
GURU公認バイクフィッター
MotionLogic 3D公認バイクフィッター

PAGE TOP